「Louise, reine des Belges : 1812-1850 」 Madeleine Lassere Librairie Academique Perrin 2006」

 

それまでは不幸で陰の薄い、初代ベルギー王妃とされてきた、ルイーズ・マリー・ドルレアンについて、膨大な彼女自身の手紙、そして他の人々のそれや、また他の関連史料を基に、実際の彼女の実像に迫り、それまでの従来のイメージを覆す、大変に説得力のある内容になっていると思います。 「Louse-Marie d'Orleaans, reine oubliee」Mia kercvoorde Racine 」

 

 

このミア・カークヴォールデは、ベルギーの女性歴史家のようです。

ベルギー王妃ルイーズ・マリー・ドルレアンの伝記としては、この著者の本書が、最初のようです。実はこちらの方の伝記は、未読です。私はどちらかというと、ドイツ語の方が慣れていますし。おおよその内容としては、ベルギー王妃ルイーズ・マリー・ドルレアンは、不幸で最初から暗い性格だった女性、影の薄い王妃として、書かれているようです。このように、もう内容としては、古くなってしまっている所も、あるとは思いますが、私が読んだ、マドレーヌ・ラセールの書いた伝記の方は、ずっと絶版になってしまっているままのようなので。

当分は、再版されそうになさそうなので。

ベルギー王妃ルイーズ・マリー・ドルレアンの伝記、こちらでも読んでみたい方は、いいのではないでしょうか? 

 

 

「Charlotte von Mexiko: Triumph und Tragodie einer Kaiserin」Erika Bestenreiner Piper 2007 ベルギー王妃ルイーズ・マリー・ドルレアンの長女である、メキシコ皇后シャルロットの伝記です。 「Ungeliebte Konigin: Ehetragodien an Europas Furstenhofen 」 Helga Thoma Piper 2003 ヨーロッパ王家の愛されなかった王妃達の中の一人として、ベルギー王女でハプスブルク皇太子妃になった、ステファニーが入っています。 物語ベルギーの歴史 松尾秀哉 中央公論新社 去年の2014年に、出版されたばかりの本です。ついに日本でもベルギー王国の通史が出たかと、何か感動です。

日本ではベルギーについて扱った本というと、専ら旅行関連の本しかない印象があったので。

 

「世界各国史14 スイス・ベネルクス史 」山川出版社 「文庫クセジュ ベルギー史」 

ジョルジュ=アンリ・デュモン 白水社

 

 

「女帝が愛した男たち」 テア・ライトナー 花風社 このシリーズの最初の巻で、ヴィクトリア女王と夫のプリンス・アルバート関連で、彼らの叔父として初代ベルギー国王になった、レオポルドの事が出てきます。

 

 

「イカロスの失墜 悲劇のメキシコ皇帝マクシミリアン・フェルディナント」 菊池良生 新人物往来社

 

 

「世界各国史25 ラテン・アメリカ史1 メキシコ・中央アメリカ・カリブ海」 山川出版社 「物語 メキシコの歴史」大垣貴志郎  中央公論新社 メキシコ側からの本だと、しかたない面もあるのかもしれませんが、それにしても、特にこの著者の、かなりマクシミリアンとシャルロットの統治に、辛辣・とにかく否定的な感じは、どうかと思いました。「皇帝がメキシコで君主制を望む人々に与したことはなんとしても正当化できない」とも書いていますし。 他にも、例えば、実際は、メキシコのベラクルス港に到着後、二人は首都のメキシコシティーで国民に大歓迎を受けているのに、明らかに事実とは異なる、「どの町にも凱旋門はなく喝采もわかなかった」という記述や、信憑性にあやしさが残る、シャルロットの侍女の「歓迎式は冷ややかだった」という発言などを使用していますし、また彼らがメキシコ皇帝夫妻になってから行なった、数々のメキシコの政治・インフラ・福祉改革などについては、全く触れられていません。

 

 

このように、マクシミリアンとシャルロットの統治時代の記述内容に関しての、 視点・記述の公平性にかなり疑問を感じる内容でした。 また、マクシミリアンのロンバルディア=ヴェネツィア総督時代でさえ、市民は彼の人柄には好感を持っていたが、彼の統治能力には、不信感を抱いていたとか書いていますし。全体的にダメな人物というレッテルを、マクシミリアンに貼っているような。 信憑性に疑問が残る彼の浮気話まで、書いていますし。 またその参考文献の中に、オーストリア側の歴史家の本が、一切入っておらず、マクシミリアン皇帝夫妻の統治時代に基本的に否定的な姿勢を示していると思われる、メキシコの歴史家達の本ばかりを参考にしているようであり。こういう点からも、公平性に疑問を感じました。このようなメキシコの歴史家側の本ばかりを参考にして、彼らについて記述するのは、片手落ちではないでしょうか?前述の、どの町からも喝采はわかなかったという記述も、メキシコ皇帝夫妻統治時代を全て否定したいメキシコの歴史家達が、わざとそういう書き方をしたのでは?と思われるフシがありますし。

 

とにかく、あまりにもマクシミリアン皇帝夫妻のメキシコ統治に否定的なこの著者の視点には、あまり賛同できませんでした。

 

 

その他参考文献

「中公文庫 麗しの皇妃エリザベト 」ジャン・デ・カール 中央公論新社 「集英社文庫 皇妃エリザベートの生涯」マルタ・シャート 「集英社文庫 皇妃エリザベートの真実」プラシュル・ビッヒラー 「エリーザベト 美しき皇妃の伝説 上・下 」 ブリギッテ・ハーマン  朝日新聞社